奏者も戦闘機パイロットも、緊急時にやることは同じ
バードストライクでエンジン停止の緊急事態!そのときパイロットはどう考え、どんな行動をとるのか。詳細に書かれた記事に、アレクサンダー・テクニークとの共通点が見つけられるということで、グレッグ先生がシェアしてくださいました。
「即座に反応したら負けだと戦闘機パイロットが知っている理由」
"Why Fighter Pilots know that Quick Reactions are for Losers"
刺激に対していつも通り反射的に反応する代わりに、違う選択ができる、というお話。ポイントを拾って訳してみますね。
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・刺激に対してすぐにreact(反応)するのは命取り。必要なのはrespond(対応)できるようになること。
・機体の緊急時には、まず何が起きているかを観察するのが大事。考える時間を稼ぐこと。すぐに助けを呼んでしまうと、役に立たない情報も入ってきてしまう。
・reaction(反応)は瞬間的なもの。無意識の信念やバイアスによって駆り立てられる。長期的な影響は考慮されない。狩猟時代から備わっている生存のための防御メカニズム。
・response(対応)は考え抜かれたもの。意識的、無意識的情報をすべて、バランスよく考慮に入れる。
・パイロットは「対応」する訓練を受けている。バードストライクにあったときのプランをあらかじめ持っていた。飛行前の打ち合わせで、ルート上でバードストライクにあったらどうするかは話し合い済みだった。
・訓練で重箱の隅をつつくのは、詳細が大事だから。
・人や出来事に「反応」しそうになったら、事実を見て、「どうやって対応するか」を考えて。
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演奏にまつわる不安がレッスンで話題になると、こんな問いかけをすることがあります。
もしそれが起きたら、どうしたいですか。
次それが起きたとき、どう考えたいですか。
どうしよう?!って思っている最中に一からプランを立てるのは大変だから、平常時に「こうなったら、こうする」と決めておく。奏者もパイロットも、緊急対応のためにできることは同じなのかもしれません。
安全ネットや命綱をしっかり用意して、本番で冒険できますように♪
役に立つプランを持ち帰ってほしいから
クラスで「座ることに興味があります」とリクエストした生徒さんに、先生が尋ねました。
「どういう状況で座りますか?」
この質問を教師がするのはなぜでしょう。
前回ボディマッピング発見秘話でご紹介したように「動作や目的に応じて動きのプランがあるから」というのがその理由です。
「パソコンの前に座る」のか、「ソファに座ってテレビを見る」のか、はたまた「演奏のために座る」のかによって、同じ「座る」という動作であっても違う動きをしている可能性が高いです。
だとしたら、レッスンで「たまたま目の前にある椅子にただ座る」よりも、明確な目的があった方が、後で自分で試してみるときの助けになるはずです。
なのでレッスンでは特定の状況を設定し、できる限り臨場感を生み出すことを大切にしています。
例えば「電車の中で座って、本を読みたいです」といった具体的な動作を見ていけると、役に立つプランを持ち帰りやすいですよ♪
ボディマッピング発見秘話
その人が思い描いている身体の地図(ボディマップ)と現実のズレが、動きづらさや痛みにつながることがあります。だから正確に理解しましょうね、と呼びかけているのが、この分野の創始者ビル・コナブル先生。チェロ奏者で、音楽家とのレッスン経験が豊富です。実はボディマッピングを発見したのも、バイオリン弾きさんとのレッスンがきっかけだったというお話を聞きました。
あるバイオリン教師が、自分の生徒をビル先生のところに連れてきました。「右手がなっとらんのでなんとかしてください」と言ったそうです(そんな!ショック!でも本題を進めますね)。
生徒さんの演奏を見たビル先生は「もしかしてこの生徒さんは、関節の位置をカン違いしているのでは」と思い、尋ねました。「ひょっとして肘がここ(実際の関節とズレたところ)と思っていませんか?」
「肘はここですよ」と伝え、生徒さんが持っていた身体に関するイメージが現実に合うものに変化したその途端、右腕が望むように動き始めたそうです。
面白いのはここからです。その生徒さん、日常の動作では、現実の肘関節で曲げることができていました。バイオリンを弾くときだけ、ズレた所から曲げようとしていたのです。
つまり、動作や目的に応じて動きのプランがある、ということ。
正しいとか間違っているとかでなく、より効率的でムリのないやり方を選択できるヒントとして、ボディマッピングは役に立つと思います。自分で知らないうちにやっていることは、レッスンで見てもらうのが近道ですね。我が家の骨格標本「グレゴリーくん」の出番かも。
☆ボディマッピングに興味が湧いたらこちらの記事もどうぞ♪
トミー先生語録2017
変化について。批判について。時間が経って見返してもますます深い。今年は御殿場合宿でご一緒したトミー先生の名言集です♪
富士山を見るのは、鏡で自分を見るのと変わらない。山は動かないけれど、雲は動きの中にあって瞬間瞬間変わっている。
常に変化している自分を定義することはできない。
常に変化している他人を定義することもできない。
すべての変化は、刺激と反応の間で、進行中の現在において起きる。
批判には価値があるかもしれないから、耳を傾ければいい。でも個人的には受け取らない。
立ち去るか、もっと一緒にいたい人のところに行くか、学ぶか、選べる。どれを選んでも苦しまない。
さまよっているからといって、道に迷っているわけじゃない。
(To wander doesn't mean you're lost.)
ワンコインレッスン大盛況!のご報告
上野学園大学での特別講座は、大盛況のうちに終了しました。ご来場くださったみなさん、興味を持ってくださったみなさん、応援に駆けつけてくれたトレーニー仲間に感謝します。
教師同士で講座の振り返りをシェアしていたら、とっても楽しく、ワクワクする気持ちになりました。そこで当日参加できなかった私は「お客様の声」の代わりに「教師の声」をお届けしたいと思います。
◎教える仕事でこういう風に協力も刺激もしあえるコミュニティってすごくありがたいなとしみじみ感じました。また次何かみなさんと一緒にできるのを楽しみにしています♪♪(なおこ)
◎一日あっという間に終わってしまいましたが、とーーっても有意義でした♪お客様も満足していただけたようで、「あの後練習したら全然違った」という嬉しい感想までいただけました。教師冥利に尽きます!みなさま、本当にありがとうございましたー(^o^)/(かずみ)
◎みなさん、楽器を演奏すること、音楽をすることをとても大事に考えていて、アレクサンダーに出会えたことをとても喜んでくれて、教師のみなさんも一人一人との一期一会をとても大事に考えてくれて、こんな場に居られることがしあわせなことなんだなと、改めて思いました。どうぞこれからも続きますように。(まさみ)
◎楽しい時間でしたし、皆んなのレッスンを見られたことが本当に良かった!また宜しくお願いします♪(よしひで)
◎みんなでできて単純に楽しかったです。音楽の人へのレッスンも初めてで面白かったですよ。(シゲ)
ちなみに上野学園大学アレクサンダー・テクニーク研究会は、このたび部員大幅増となったそうです。おめでとうございます!
来年もできたらいいねと話していて、11月3日・4日というウワサなので予定に書き込んでみました。見学をOKにしたり、複数の先生に習える仕組みを作ったりしたいと、今から夢が膨らんでいます。
レッスンを受けてこそ良さがわかるアレクサンダー・テクニーク。今回は文化祭ということで大学からの補助をいただいき実現した企画でした。こんなふうに誰でも気軽に、色々な先生のレッスンが受けられるイベントを他のところでもやってみたいです♪
☆当日の様子と講師のプロフィールは尚子さんのブログからご覧いただけます☆
11/4音楽専門アレクサンダー教師によるワンコインレッスン♪⑤
ワンコイン500円で、音楽専門コース卒業生によるレッスンを体験できるチャンス。11/4、あなたにピッタリの先生に出会えるかもしれません♪
時間など詳細はこちらをご覧ください。予約不要です。
歌・ギター・ドラムの目時重孝(めとき しげゆき)さんも、急遽駆けつけてくれることになりました。
シゲさんは、ライブハウスでドラムやギター弾き語りをするセッションミュージシャンです。調性で言ったらいつもハ長調が流れてそうな穏やかな人柄から、超カッコいいロックやブルースを繰り出します。
緊張しようが照れようが、歌いたい歌がある。演奏からは、そんな思いが伝わってきます。
一方で元エンジニアの経験を生かして、私たちがIT関連で困っていると助けてくれます。もはやサポートセンター。私のiPadの初期設定を手伝ってくれたのもシゲさんです。「こんなこと聞いていいのかな」と思うような初歩的な質問にも丁寧に答えてくれるので、安心して何でも相談できます。
上司や先輩との関係を、ちょっとした工夫でスムーズにするアイディアもたくさんお持ちです。
クラシック音楽とは違う目線からのレッスンを受けてみたい方
コミュニケーションについて相談したい方
お話を聞いてもらって癒されたい方に
オススメします♪