いつもどこかに痛みを感じるバイオリン弾きのためのブログ

アレクサンダー・テクニークでラクになる日々

バッグから物を取り出す「非」効率的なやり方から学んだこと

キャシー先生が来日した夏の振り返り。
大き目のバッグから物を取り出すのを
レッスンでみてもらいました。

別にケガもしてないし、物は出せるんだけど
なんか余計なことをやっているような
もっと効率的なやり方があるような
そんな気がしてならなくて。

私の言葉を聞いた先生は
きっぱり言いました。
「何やったって、いいの!」

「やり方に制限をかけることは
人間の可能性を狭めてるのと一緒よ」と。

そして、意外な提案をしました。

「要らないルールをあえて守って動いて
人を笑わせるピエロみたいに
試しに、可能な限り一番
『非』効率的なやり方でやってみて!」

ええー。

わざとバッグを後ろに回してから、とか
いろいろやっているうちに笑えてきて
そこでハッと気づきました。

一番効率がいい
正しいひとつのやり方があると思ってた。

「正しいやり方は700万通りあるのよ」という
キャシー先生の言葉を
何度も耳にしていたのに。


さて、700万通りのやり方があることを
体験して納得したあとは
動きを分解して、ひとつずつやっていきました。

目を動かし頭を動かしてバッグをみる
左手をストラップにかける
右手をバッグに持っていく
バッグを開ける
取り出したいものに右手を近づける


という具合に、意図をハッキリさせることで
動きの質が変わります。

ざっくりと「取り出す」と呼んでいる動作が
身体のどこのどんな動きで構成されているのか。
見直すことで、新しいやり方を発見できました。
めでたしめでたし。

「喉を痛めても声が出せるように」でなく

喉が痛い。声が出ない。
そして、声を使う必要がある。

そんなとき
アレクサンダーを使えば声が出るようになるのか?

由香先生は、違うアプローチをとりました。

「今の喉の状態を守るために
アレクサンダーを使いましょう。
喉には喉のご都合があるんだから」

声帯にやさしい空気を出すために
肋骨や胴体が動く。
喉の粘膜は
空気を通過させるだけ。

「喉を痛めても声が出せるように」ではなくて
自分のシステムが病気を治すパワーを守るために。
そんなふうにも、アレクサンダーは使えるのですね。

レッスンの結果、クラスメイトの声は
だいぶ出るようになっていましたが
引き続き、お大事に。

よくないはずの否定形から出発して起きた、いいこと♪

「静かなところで隣の人と合わせて弾くときに
どうしても『○○してはいけない』
と思ってしまって縮こまる」

というバイオリン弾きさん。

「○○してはいけない」よりも
「○○しよう」のほうが
身体が動きたいように動く役に立ちます。
さて、どうしたら言い換えられるでしょう?

実は、ある質問をするだけで
やりたいことが見えてくるんです。

例えば…

「弓が震えちゃいけない」
→Q.弓が震えなかったら何ができる?
→「弓が滑らかに動きます」
→「じゃあ弓を滑らかに動かして演奏しよう!」

 

「隣の人とズレてはいけない」
→Q.隣の人とズレなかったら何ができる?
→「気持ちよく共鳴できます」
→「じゃあ気持ちよく共鳴できるように演奏しよう!」

否定表現は、悪者じゃない。
使い方次第で
本当にやりたいことを見つけるカギにもなるんですね♪

 

☆参考記事☆

vnmiyuki.hatenablog.com

vnmiyuki.hatenablog.com

パフォーマー向け語録2017~その3

キャシー先生のパフォーマー向け語録。
音楽家対象マスタークラスより
今日は【Yesプラン】についてです。

 

演技の時に「○○を聞かない」って思うと、『カメラが気に入らない』表情になってしまう。「他のものを聞く」というプランにしたら、『カメラが気に入る』表情に変わる。

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(大変なパッセージで)「上手くいくといいな」には、「上手くいかないかもしれない」が入っている。「今日どうなるかはわからない」に言い換えてみて。

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学びのきわ(learning edge)でやっていることは、どんなにプランしても上手くいかないかもしれない。新しい息の使い方について、もっと自分に優しい言い方はできる?「ほしい音が出るかどうかやってみよう」とか「実験しよう」とか。

(Cathy Madden)

パフォーマー向け語録2017~その2

キャシー先生のパフォーマー向け語録。
音楽家対象マスタークラスより
今日は【お誘い】についてです。

 

お誘い(invite)とは

「『良かったら』見てください/聞いてください」
という意味。
エゴとも自慢とも違う、旅路や物語へのお誘い。
深い目的がある。

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私は聴衆と「つながる」という言い方はしない。
活動的でないし、コントロールの範囲外だと思う。
つながりは、相手がお誘いに乗ってくれた結果として
生まれるものだから。

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作曲家は、曲を生み出す瞬間から
未来の聴衆をお誘いすることができる。

 

(Cathy Madden)

パフォーマー向け語録2017~その1

キャシー先生のパフォーマー向け語録をまとめました。
音楽家対象マスタークラスより
今日は【パフォーマンス全般】について。

人前で何かする人はみんなパフォーマーだから
同じスキルが必要。

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「三種のウォームアップ」は、クールダウンにも使える。
演奏会が終わって聴衆に会いに行く前などにやっておくと
繊細に反応しすぎるのを防げる。

*「三種のウォームアップ」についてはこちら

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ステージでは恥ずかしいこともある。
そして、障害よりも望みの方が大きいから舞台に立つ。


(Cathy Madden)

 

パフォーマンスに必須の「イチブトゼンブ」

「聴衆を音楽の旅路へお誘いする」について
詳しく知りたい方へ。

音楽家向けのマスタークラスに参加して
学んだことをシェアします♪

・身体のデザインと協調すること
・演奏上のテクニック
・表現のスキル
すべてがつながり合う、ひとつのプランです。

私はアレクサンダーテクニークを使います
  自分の芸術形態の技術を使うために
  この聴衆をお誘いするために
    この旅路へ
    明確かつ身も心も駆り立てられるような理由へ
    自分の人生と世界に貢献するために


「上手くいかないと思うとき
この中のどれかが抜けていることがある」
とキャシー先生は言います。

例えば高い音を当てるのに必死なとき
技術に焦点が当たっているけれど
そのとき
音楽の旅路へのお誘いはどうなっている?

お誘いしているのにしっくり来ないとき
駆り立てられる理由は明確?

演奏することは
自分の人生のどんな目的につながっている?

そんなふうに
ひとつひとつに対して問いを立ててみると
どんな答えが出てくるでしょうか。

 

I use Alexander Technique
  to use the techniques of my art form
  to invite this audience
    on this journey
    for a specific psycho-physically evocative reason
    to serve my life and the world.

(Cathy Madden)